個人がシステムと対峙するために。


かつて、日本でも労働運動や学生運動が華やかだった時代があった。

運動に関わっていた人たちは、システム内の弱者である個人がシステムの権力者に対峙するためには、批判精神を持ち、連帯することが重要だと思っていた。団体交渉なんてのもあった。

しかし、そんなもんはクソの役にも立たないということを、今や彼ら自身が証明してしまっている。彼らの中には、その後システムをコントロールする権限を持った者もいるが、そういう人はむしろ押さえ込みに必死なのではないだろうか。
今こそ批判精神を見せてほしい、などと言うつもりはない。だって、それこそ人間らしいじゃないか。


ともかく、システム的問題に対して、個人が連帯すれば何とかなると思われていた時代はのどかだった。個人が、希望を持つことができた。しかし今はもう、そんな幻想はなくなってしまっている*1。その上、連帯の代わりにどうしたらいいのかというノウハウも育っていない。
最近の若者は元気がない、というような言い方を私は好まないけれども、こういう時代に個人が決定的な無力感を感じることには、何の不思議もない。


私が今考えている結論としては、今の日本*2に多い「固い」システムでは、どんなに個人が連帯したところで、内部から突き崩そうとするのは、かなり難しい。私自身、あっちこっち転々としてしまっているけれども、システムの内部に入ってシステムを変えようとしても無駄だ、ということはいつも感じてきた。内部からのアプローチはほぼ絶対に、同じ土俵に乗ってもらえない。

しかし「固い」システムは、外部からの揺さぶりには、そんなに強くない。ここは一つ、外部からのアプローチを考えてみようじゃないか。

例えば私自身が苦労した大学の研究室の例だったら、どうすればいいだろうか。



外部から攻めるっていうのは…

○○大学△△研究室 □□教授殿

「ああ、また学生がいなくなった!」とお悩みの大学理系
研究室の教授様は、今すぐ無料小冊子を請求してください。


大学生・大学院生の不登校・ひきこもりが目立ってきております。
もしかしたら、あなた様の研究室でもそのような出来事が起こっているかもしれません。


学生が不登校になるということは、当該学生とその家族、周囲の学生、それから研究室を運営するあなた様、すべての方にとって不幸なことです。

当該学生にとっては、夢・目標をあきらめることになります。その両親の子供の教育への投資も無駄だったことになりますし、家族全員の雰囲気が悪くなります。
一人の学生がいなくなると、研究室を運営されるあなた様としても戦力を失ったことになりますし、研究室内の雰囲気がどうしても暗くなり、全体としての生産性も低下します。その雰囲気が第二の不登校、第三の不登校と連鎖していき、悪循環に落ち込んでいく。この損失は決して小さくありません。


申し遅れました私、アカデミック人材マネジメント株式会社代表取締役社長Bon voyageも、以前は化学の学生でしたが、研究室での人間関係悪化のために、夢を断念した一人であります。私は、今後、私のような形で夢を断念する若者がこれ以上増えてはいけないという思いから、今の事業を始めたのです。



本来、大学での研究室での人材マネジメントは、一般企業よりも難しいものです。なぜならば、お金の流れが企業とは逆だからです。

一般企業では上司が部下に対して「給料もらってるんだから、ここは一つ譲ってくれないか」と言えるのに対して、大学では研究スタッフが学生に強く迫ろうものなら「俺はお前に金を払ってるんだから、お前こそきちんと教育サービスしてくれ」と言われてしまいます。

研究と教育とのバランスは、あなた様にとっていつも悩ましいことなのでしょうが、学生をうまく育成できなければ、長期的には必ず研究が滞ることになってしまうことは想像に難くありません。反対に、人材をきちんと育成できたならば、新しいアイデアが生まれ、人が人を育てるようになり、研究結果も自然とついてくるのではないでしょうか?


残念なことに、大学研究室での人材マネジメントが一般企業よりも難しいにも関わらず、人材マネジメントをきちんと学ばれた研究スタッフは、ほとんどいらっしゃいません。逆に見れば、今これを学びさえすれば、それだけで大きなアドバンテージを手にすることができるということでもあります。


さて、この度当社では、小冊子「人を育てて結果も出す! 3時間でわかる大学研究室人材マネジメントの8つのポイント 理系版」(通常価格1500円)を刊行いたしました(書店では購入できません)。ここには、当社のスタッフが民間企業で長年培ったマネジメントのノウハウに、大学の研究室向けに修正を加えたものが詰め込んであります。しかも、理系の教授様が理解しやすいような言葉で、また、あなた様が既に豊富にお持ちの理系の知識を使ってマネジメントに望んでいただけるよう、工夫してあります。

当社では刊行を記念して、この小冊子を全国の大学理系研究室の教授様から先着30名様に無料プレゼントすることにいたしました。お申込は今すぐ、下の欄に必要事項をご記入の上、24時間FAX受付0120−XXX−XXX(無料)までご返送ください。意欲ある教授様はお急ぎください。


それでは失礼いたします。貴研究室のますますのご発展を祈念しております。
     アカデミック人材マネジメント株式会社 代表取締役社長 Bon voyage

お名前
小冊子送付先ご住所
研究室名
TEL
FAX
マネジメント担当者様ご氏名


無料小冊子のお申込は今すぐ→ 24時間FAX受付 0120−XXX−XXX


こういうこと。


この文章はダイレクト・マーケティングでよく使われるタイプのもの*3

これをね、全国の黄色い電話帳を集めてきてね、大学理系研究室にね、FAXでばばばっと送るの。そうしたらね、ばばばっと返事がきてね、はいよって小冊子を送ってあげる。そのときに、顧問契約の資料と、通信教材の資料と、講演・講習会のお知らせを同封してあげるの。


私が思うに、こういうビジネスを立ち上げて、うまく展開していけば、数年後には数億規模になるかもしれない。日本中の大学の理系の研究室って意外と多いし、予算使いきりのために何百万、何千万もする要らない機械を買ったりしているところすらある*4。パブリシティ(マスコミ向け広報活動)もやりやすそうだし。

もしも、新規事業を始めたいと思っている経営者さんや、投資先を考えている投資家さんや、人材マネジメントやビジネスコーチングのプロフェッショナルの方々が集まってこのビジネスをやってくれるのならば、私は元当事者(あ、現かな?)として助言・協力・参加を惜しまない*5

*1:連帯がダメだということではないよ。連帯は大事だ。だが弱者が集まっただけじゃ、なあんにも始まらない。それに今の状況では、例え誰かが連帯を呼びかけても、「とりあえずお上の言うことを聞いておいたほうが得だし」と思う人のほうが多い気がする。

*2:他の国のことはよく知らなくて書けないので、便宜上日本と言っておく。

*3:私の場合、こういう情報の収集元は神田昌典さんという方で、以前会った経営コンサルタントというのも、実はこの人。彼は「無料で人に会うことはありません」(彼に会いたければ、結構高い金を払って経営者セミナーに出る必要がある)と宣言していて、私が彼に招かれて個人的にお話したことがあるという話をすると、彼のことを知っている人は皆驚く。…と、自慢しておく。

*4:逆にゲキ貧のところもあって、ものすごく差がある。

*5:って言うか、この程度のアイデアならいくらでも出てくるから、ビジネス関係の方はメールでもくれればいいと思うけど。