“articulation”と“articuler”


『寝ながら学べる構造主義』(ISBN:4166602519) 188ページからの引用。

「分節」articulationというのは訳語の難しい術語です。この語は「関節」「区切り」「断片」を意味します。動詞形articulaterは「断片化されたものを結びつける」という意味と、「はっきりと発音する」という意味があります。「断片」に「分かたれたもの」を結びつけることで、意味のある「ことばを語る」という一連の動作をこの語は一語で言い表しているわけです。


「あ」「い」「う」「え」「お」といったような音は、人間が発音できるさまざまな音の中の1つ1つの断片だ。

「ね」「こ」という断片断片と、断片と断片が結びついた「ねこ」というのでは全然違う。組み合わさって、違う意味が「創発」しているわけだ。言葉というのは1つのシステムなんだね。音と音(または文字と文字でもいいが)が結びついて単語になり、単語と単語が結びついて文になり、文と文が結びついて文章になる。そういうふうにできている。


「一旦断片化して、それから結びつける」というのは、システム・アプローチでよく使う考え方でもある。


「分子」というシステムを理解しようと思ったら、いくつかの原子核と電子に一度ばらして、それから結びつける。

「家族」というシステムをもっとましにデザインしたいと思ったら、一旦個人個人に分けて、あらためて結合の仕方を考えてみる。


ちょっと慣れが必要だけど、これも慣れちゃうと強力な思考の道具として使えるんだよなあ。